RCTJadad 1/5RandomizedDouble-BlindPlacebo-Controlled

クレアチン硝酸塩(CrN)は「進化系クレアチン」か?28日間の用量別試験でわかった筋力・パワーへの効果と限界

Journal of the International Society of Sports Nutrition2016年3月31日Vol. 13

ポイント

筋トレサプリの定番「クレアチン」に、血流改善が期待される「硝酸塩」を結合させた新素材「クレアチン硝酸塩(CrN)」。テキサスA&M大学の研究チームが2部構成で検証しました。まず13名の男性で摂取1回・5時間の急性安全性を確認し、続いて48名の健常な男性をプラセボ・クレアチンモノハイドレート(CrM)3g・低用量CrN(1.5g)・高用量CrN(3g)の4群に分け、28日間の摂取とレジスタンストレーニングを組み合わせて効果を検証しました。結果、高用量CrN群はベンチプレスの総挙上量とパワー出力でプラセボを有意に上回り、CrM3gとほぼ同等の伸びを示しました。しかし興味深いことに、CrN群の筋肉内クレアチン濃度は7日目には上昇したものの28日目には元の水準に戻ってしまい、CrM群のように蓄積が持続しませんでした。つまり効果は出ているのに、そのメカニズムを筋クレアチン量だけでは説明できないという、やや謎めいた結果です。自転車を使った瞬発力テスト(Wingateテストなど)には有意な差は見られませんでした。安全面では、急性・慢性いずれの試験でも肝機能・腎機能・筋逸脱酵素・血圧に臨床的に問題となる変化はなく、副作用の頻度もプラセボ群と同程度で、脱落者もほぼ出ませんでした。

あなたの生活にどう関係する?

試すなら1日3g(硝酸塩換算で約1g)を目安に、最初の7日間は1日4回に分けて摂取する「ローディング」を行うと立ち上がりが早い可能性があります。ただし本研究のCrM比較用量(3g)は一般的な推奨量(5g)より少なく、CrNが割高な価格に見合うかは未知数。コスト重視なら実績豊富なクレアチンモノハイドレート5g/日が依然コスパの高い選択肢です。レジスタンストレーニングを行う健常な男性がベンチプレスの挙上量やパワー向上を狙う場合に向いており、瞬発系スプリント能力の上乗せは期待しない方がよいでしょう。

注意点

対象は21歳前後の健常な男性のみ(女性データなし)で、高齢者・持病のある人への外挿はできません。CrM比較用量が一般的な推奨量5gより少ない3gだった点は、CrNの相対的な優位性を過大評価している可能性があります。研究はCrN原料を扱うNutrabolt社の助成を受け、著者にも同社との利益相反があり、独立した追試による裏付けが望まれます。効果の裏にある生理学的メカニズムも未解明で、「溶けやすいので少量で効く」といった市販品の謳い文句を鵜呑みにせず、持病がある方や薬を服用中の方は摂取前に医師に相談してください。

専門用語の解説

クレアチン硝酸塩(CrN)筋力アップで知られるクレアチンと、血管拡張作用が期待される硝酸塩を結合させた比較的新しいサプリメント成分。
クレアチンモノハイドレート(CrM)最も研究の蓄積が多い一般的なクレアチンの形態。安価で効果と安全性のエビデンスが豊富。
硝酸塩(NO3⁻)ビートルートなど緑黄色野菜に多く含まれるイオン。体内で一酸化窒素に変換され血流改善に関わるとされる。
一酸化窒素(NO)血管を広げ血流を促す生体内シグナル分子。運動効率や筋タンパク質合成への関与が研究されている。
ローディング(負荷期)摂取初期に通常より多い量を数回に分けて摂取し、体内の有効成分濃度を素早く高める摂り方。
除脂肪量(FFM)体重から体脂肪を除いた筋肉・骨・水分などの重さ。増加は筋量アップの目安とされる。
Wingateテスト自転車エルゴメーターで全力ペダリングを30秒間行う無酸素性パワーの測定法。
クレアチンキナーゼ(CK)筋損傷の程度を示す血液中の酵素。数値が大きく上昇すると筋へのダメージが疑われる。
ランダム化二重盲検プラセボ対照試験参加者を無作為に群分けし、本人も評価者も本物とプラセボ(偽薬)の区別がつかない状態で行う、信頼性の高い臨床試験デザイン。
研究データ

試験デザイン

Duration4 weeks

総合評価

JADAD Quality Assessment
1
/ 5

評価詳細

ランダム化

0 / 2
研究がランダム化されていると記載されているか?
はい+1
根拠: 本論文では、研究1および研究2の両方のデザインを説明する際に、要旨と方法のセクションの両方で「ランダム化された」(および「無作為に割り付けられた」)という用語が明示的かつ繰り返し使用されている。
ランダム化の方法が適切に記載されているか?
いいえ-1
根拠: 本論文では、参加者が「ランダム化された」または「無作為に割り付けられた」と繰り返し記載されているが、無作為化配列を生成する際に実際に用いられた方法(例:コンピュータ生成乱数、乱数表、コイン投げなど)については一切説明されていない。「カウンターバランス法」という用語は、無作為化の具体的な手法ではなく、研究デザイン(クロスオーバーの順序)を表すものである。適切な(あるいはいかなる)無作為化方法も明示的に記載されていないため、Jadadスケールのガイドラインに従い、この項目は「no」と評価すべきである。

盲検化

0 / 2
研究が二重盲検であると記載されているか?
はい+1
根拠: 本論文では、要旨、方法の概要、サプリメンテーションプロトコルのセクションなどにおいて、研究1および研究2の両方が「二重盲検」であると明示的かつ繰り返し記載されており、このJadad項目の基準を満たしている。
盲検化の方法が適切に記載されているか?
いいえ-1
根拠: 本論文では、研究が「ランダム化二重盲検」法で実施されたと繰り返し記載されているが、この二重盲検を達成するために実際に用いられた盲検化の方法(例:サプリメントの外観・色・味・包装/ラベルを同一にする方法、盲検化や割り付け隠蔽を誰が行ったかなど)についてはどこにも説明されていない。サプリメントの組成は、PLA、CrM、CrN-Low、CrN-Highの間でデキストロース/香料の量が異なっており、それらが参加者や研究者にとって識別不能となるようどのように処理されたかについての記載がない。盲検化の方法が記載されていないことから、盲検化の方法が明示的に記載されかつ適切であることを求めるガイドラインに従い、この項目は「no」と評価すべきである。

脱落者・除外者

1 / 1
脱落者数と脱落理由が記載されているか?
はい+1
根拠: 本論文では、研究1および研究2の両方について、群ごとの正確な人数と具体的な理由(時間的制約、医学的スクリーニング不合格、予定来院の欠席、腹痛、家庭の事情など)を含む、脱落・離脱に関する詳細な記述が治療群ごとに提供されており、脱落/離脱について記述するというJadad基準を満たしている。

対象集団

サンプルサイズ53
年齢範囲Mean: 21 years
疾患・状態標準化されたレジスタンストレーニングを実施している健康なレクリエーショナルに活動的な若年男性(サプリメントの安全性およびエルゴジェニック(運動能力向上)効果に関する研究)
Inclusion Criteria
  • 試験参加直前の時点で、ベンチプレスおよびレッグプレスまたはスクワットを含む少なくとも6か月間のレジスタンストレーニング経験を有すること
  • レクリエーショナルに活動的な男性であること
  • ベースライン測定前に2週間の標準化されたレジスタンストレーニング導入期間を完了していること(研究2)

介入

プラセボ(デキストロース)

対照群
Dose負荷期:1回あたりデキストロース5g + 香料0.5g(総量デキストロース26g/日);維持期:デキストロース6.5g/日
Frequency0~7日目は1日4回、8~28日目は1日1回
Duration28日間
Routeoral

クレアチン一水和物(CrM)

治療群
Dose負荷期:1回あたりCrM 3g + 香料0.5g + デキストロース2g(総量CrM 12g/日);維持期:CrM 3g/日
Frequency0~7日目は1日4回、8~28日目は1日1回
Duration28日間
Routeoral

硝酸クレアチン低用量群(CrN-Low)

治療群
Dose負荷期:1回あたりCrN 1.5g + 香料0.5g + デキストロース3.5g(総量CrN 6g/日);維持期:CrN 1.5g/日
Frequency0~7日目は1日4回、8~28日目は1日1回
Duration28日間
Routeoral

硝酸クレアチン高用量群(CrN-High)

治療群
Dose負荷期:1回あたりCrN 3g + 香料0.5g + デキストロース2g(総量CrN 12g/日、1回あたり硝酸塩約1g相当);維持期:CrN 3g/日
Frequency0~7日目は1日4回、8~28日目は1日1回
Duration28日間
Routeoral

アウトカム

OutcomeTypeEffectp-value
ベンチプレス挙上量(kg、70% 1RMでのセット3を疲労困憊まで実施)主要-p < 0.05有意
ベンチプレスピークパワー主要-p < 0.05有意
ベンチプレス平均パワー主要-p < 0.05有意
ウィンゲート無酸素性テスト(30秒間の自転車エルゴメータースプリント)副次--
6×6秒無酸素性スプリントテスト副次--
除脂肪量副次-p < 0.05有意
除脂肪体重副次-p < 0.05有意
血漿硝酸塩濃度副次-p < 0.001有意
血漿クレアチン濃度副次-p < 0.03有意
筋内(骨格筋)クレアチン濃度副次-p = 0.002 (vs PLA), p = 0.001 (vs CrN-Low)有意
血漿クレアチン曲線下面積(AUC)(急性投与、試験1)副次-p=0.001有意
血漿硝酸塩曲線下面積(AUC)(急性投与、試験1)副次-p=0.001有意
肝腎機能・筋酵素・脂質および血糖パネル副次--
心拍数および血圧副次--
自己申告による副作用(めまい、頭痛、頻脈、動悸、呼吸困難、神経過敏、霧視)副次-time p = 0.35; group x time p = 0.34

安全性

有害事象48
脱落率9.4%
研究プロトコル・サプリメント摂取に関連する副作用により脱落した参加者はいなかった。副作用の頻度・重症度は最小限であり、全ての治療群で同様に分布していた(PLA=11件、CrM=11件、CrN-Low=13件、CrN-High=13件の報告事例)。時間効果および群×時間交互作用に有意差は認められなかった(それぞれp=0.35、p=0.34)。肝腎機能または筋酵素マーカーに一貫した臨床的に意味のある変化は観察されなかったが、一過性・偶発的な群間差がいくつか認められた(例:試験1におけるクレアチニン、試験2の考察で言及されたALPおよびCKの例外)。これらは有害性を示すものとは考えられなかった。CrN-High群のCK値はベースライン時および急性摂取後に一時的に正常範囲を超えたが、28日目までに正常化した。CrNのいずれの用量でも低血圧反応は観察されなかった。

結論

クレアチン硝酸塩(CrN)を1日3g(硝酸塩として約1gを含有)投与した場合、急性期(5時間)および慢性期(28日間)のいずれのサプリメント摂取においても忍容性は良好であり、肝腎機能、筋酵素、血行動態、血中脂質に臨床的に意味のある害を示す証拠は認められず、プラセボまたはクレアチン一水和物と比較して用量依存的な副作用増加も認められなかった。慢性期の試験では、CrN-High群はベンチプレスの挙上量およびTendo(装置)によるピークパワー・平均パワーの有意な増加を示し、これらはプラセボと比較して有意に大きく(パワー指標についてはCrN-Lowと比較しても有意に大きく)、その効果はクレアチン一水和物(CrM)3gと同等であった。しかし、CrN-High群におけるこれらのパフォーマンスおよび体組成の改善は、より大きな筋クレアチン蓄積によって説明されるものではなかった―筋クレアチンはCrM群およびCrN-High群の両方で7日目に有意に増加したが、28日目まで上昇が維持されていたのはCrM群のみであった。推奨用量(1.5g)または倍量(3g)のいずれのCrN用量においても、CrMより有効であるという証拠は認められず、いずれの処置においても無酸素性(Wingateテスト、6×6秒スプリント)パフォーマンスに追加的な効果は観察されなかった。

限界

  • 試験2で使用したCrM用量(3g)は、先行研究でより一貫したエルゴジェニック効果(運動能力向上効果)を示すとされる、より一般的な5g投与よりも低かった可能性がある
  • 本研究ではCrM用量をCrN-Highのクレアチン当量用量に意図的に合わせたため、比較対象として従来型のCrM負荷法(例:1回5g摂取)は検討されなかった
  • 各群のサンプルサイズは比較的小さく、脱落後は群間で不均等であった(PLA群n=11、CrM群n=11、CrN-Low群n=13、CrN-High群n=13)
  • CrN-High群におけるパフォーマンス・体組成の改善は、筋クレアチン含量の明確な対応する増加を伴っておらず、作用機序は未解明のままである
  • 試験1(急性期安全性評価、N=13、クロスオーバー試験)は摂取後5時間のみを評価対象としており、より長期の急性期安全性に関する推論には限界がある
  • 試験2における高い脱落率(募集した71名中23名が馴化後に脱落し、さらなる脱落はCrM群に集中)は選択バイアスをもたらす可能性がある
  • CrNとCrMを比較する際の非劣性/同等性マージンが事前に規定されていなかったため、有効性の同等性に関する正式な結論には限界がある
このコンテンツはAI(LLM)によって生成されています。正確性には十分注意を払っておりますが、重要な情報については原著論文をご確認ください。
クレアチン硝酸塩(CrN)は「進化系クレアチン」か?28日間の用量別試験でわかった筋力・パワーへの効果と限界 | Re:Vital Nexus