RCTJadad 2/5RandomizedDouble-BlindPlacebo-Controlled

プレワークアウトサプリ、効果があるのは最初の4週間だけ? シネフリン追加は「意味なし」と判明した8週間RCT

Journal of the International Society of Sports Nutrition2017年1月3日Vol. 14

ポイント

「毎日飲めば筋トレの成果が底上げされる」と謳われるプレワークアウトサプリ(PWS)。本研究はテキサスA&M大学が実施したもので、レジスタンス訓練経験のある健康な男性80人を、①プラセボ、②市販PWS(ベータアラニン・クレアチン硝酸塩・カフェイン284mgなど配合)、③同PWS+シネフリン20mg(ビターオレンジ抽出物)の3群に無作為・二重盲検で割り付け、8週間の同一トレーニングプログラム中に毎日摂取してもらいました。結果は「部分的に効くが、長続きしない」というものでした。4週目時点ではPWS群・PWS+S群でベンチプレスや脚のパワー、認知機能テスト(Stroopテスト)の伸びがプラセボより大きい傾向が見られましたが、8週目には全群がほぼ同じレベルまで追いつき、体組成(体脂肪・除脂肪量)にも群間差は出ませんでした。さらに、シネフリンを追加しても体脂肪減少や筋力アップの上乗せ効果は確認されず、心拍数・血圧・血液検査値・副作用の頻度もプラセボと変わらず安全性は良好でした。「毎日飲み続ければ効果が積み上がる」というイメージとは異なる結果と言えます。

あなたの生活にどう関係する?

この研究が支持するのは「トレーニング初期の集中力・立ち上がりの後押し」としての使い方です。目的が新しいプログラム導入時のモチベーション維持や、最初の1カ月で勢いをつけることなら妥当な選択肢。一方「長期の筋力・体組成の底上げ」を期待して継続購入するなら、8週間で差が消える点を踏まえコスパを再検討すべきです。シネフリン配合をうたう高価格帯製品を選ぶ理由は、この用量(20mg/日)では乏しいと言えます。カフェイン感受性が高い人・降圧薬服用者・不整脈既往がある人は成分表示(カフェイン量、シネフリン量)を必ず確認してください。

注意点

対象は6カ月以上の訓練歴がある健康な20代男性のみで、女性・初心者・中高年には外挿できません。使用されたPWSは特定の市販製品(Cellucor C4 Pre-Workout)で、他ブランドの配合比率や用量が異なれば結果も変わります。本研究は主要な統計解析(MANOVA全体検定)では有意差が出ておらず、報告された「差」の多くは平均変化量と95%信頼区間による副次的な比較に基づく点に注意が必要です。また資金提供元は当該製品の製造元であり、著者に企業との利害関係が開示されています。シネフリンは併用薬・基礎疾患によっては懸念も指摘されており、心疾患・高血圧のある方は医師に相談してください。

専門用語の解説

プレワークアウトサプリメント(PWS)運動前に摂取する複合成分サプリで、カフェインやアミノ酸などを組み合わせて集中力・パフォーマンス向上を狙う製品カテゴリー。
シネフリンビターオレンジ(Citrus aurantium)に含まれる成分で、脂肪燃焼・エネルギー消費促進が期待され「脂肪燃焼系」サプリによく配合される。
ベータアラニン筋肉中のカルノシン濃度を高め、高強度運動時の疲労(酸性化)を緩和するとされるアミノ酸系サプリ成分。
クレアチン硝酸塩クレアチンと硝酸塩を結合させた形態のサプリ成分で、瞬発力向上や血流改善が期待されるが、本研究の用量(1日2g)は筋クレアチン貯蔵を大きく増やすには少なめ。
1RM(One Repetition Maximum)1回だけ持ち上げられる最大重量のことで、筋力トレーニングの成果を測る代表的な指標。
Stroopテスト文字の色と意味が一致しない単語を素早く読ませることで、注意力・実行機能などの認知能力を測定する心理学的テスト。
DXA(二重エネルギーX線吸収測定法)骨密度や体脂肪量・筋肉量を精密に測定する画像検査法で、体組成評価のゴールドスタンダードとされる。
MANOVA(多変量分散分析)複数の指標を同時に統計的に比較する手法。本研究では『群×時間』の交互作用が有意かどうかで、サプリの上乗せ効果があったかを判定している。
二重盲検プラセボ対照試験参加者にも実験者にも、誰が本物のサプリ・偽薬(プラセボ)を摂取しているかを分からなくして行う試験デザインで、思い込みによる効果を排除できる。
JadadスケールRCTの報告の質(無作為化・盲検化・脱落者の記載)を0〜5点で評価する簡易チェックリスト。本研究は5点満点中2点。
研究データ

試験デザイン

Duration8 weeks
RegistrationClinicalTrials.gov: NCT02999581

総合評価

JADAD Quality Assessment
2
/ 5

評価詳細

ランダム化

0 / 2
研究がランダム化されていると記載されているか?
はい+1
根拠: 本論文は方法概要(「前向き、無作為化、二重盲検、プラセボ対照コホート研究」)、要旨(「無作為に割り付けられた」)、および詳細な方法(「無作為な方法で3つの栄養補助食品介入群のいずれかに無作為化された」「二重盲検法で無作為に割り付けられた」)において、繰り返し明示的に「無作為化(randomized)」と記載している。
ランダム化の方法が適切に記載されているか?
いいえ-1
根拠: 論文には参加者が「無作為化された(randomized)」「無作為に割り付けられた(randomly assigned)」と記載されているが、実際にランダム割り付け順序を生成した方法(例:コンピュータ生成乱数、乱数表、コイン投げなど)については記述がない。具体的なランダム化の手法が示されていないため、その方法が適切であったかを検証できず、Jadadスケールの採点基準に従い「いいえ」と回答すべきである。

盲検化

2 / 2
研究が二重盲検であると記載されているか?
はい+1
根拠: 方法セクションには本研究が「二重盲検(double-blind)」で実施されたことが明記されており、これは要旨およびサプリメンテーションプロトコルのセクションにおいても、サプリメントの割り付けが「二重盲検法」で行われ、コード化された包装により「二重盲検投与」が行われたと繰り返し記載されている。
盲検化の方法が適切に記載されているか?
はい+1
根拠: 方法セクション(サプリメンテーションプロトコル)には盲検化の方法が詳細に記述されている。サプリメント(プラセボ、PWS、PWS+S)は第三者機関によって独立にコード化された単一のホイル包装に梱包され、すべてのサプリメントは同様の色と粉末の質感を有していた。これは参加者および研究者が外観・質感から条件を判別できないという点で適切な二重盲検化の方法であり、Jadadスケールにおける適切な盲検化の基準を満たしている。

脱落者・除外者

0 / 1
脱落者数と脱落理由が記載されているか?
いいえ0
根拠: 論文にはスクリーニングを受けた人数(213人)、参加資格を得た人数(122人)、最終的に研究を完了した人数(80人、群別内訳:PLA=27名、PWS=27名、PWS+S=26名)が報告されている。しかし、各段階で何名が脱落・中止したか、また各治療群における脱落・中止の理由については明示的に述べられておらず、この項目に関するJadad基準を満たすには不十分である。

対象集団

サンプルサイズ80
年齢範囲Mean: 22 歳
疾患・状態見かけ上健康で、レジスタンストレーニング経験のある男性を対象に、8週間の周期化レジスタンストレーニングを実施
Inclusion Criteria
  • 研究参加開始直前に少なくとも6ヶ月間のレジスタンストレーニング歴があり、ベンチプレスおよびレッグプレスまたはスクワットの実施を含むこと

介入

プラセボ(デキストロース)

対照群
Frequency1日1回(トレーニング日は運動の約15~30分前、非トレーニング日は朝食時)
Duration8週間
Route経口

プレワークアウトサプリメント(PWS)(Cellucor C4 Pre-Workout)

治療群
Dose1パケット/日
Frequency1日1回(トレーニング日は運動の約15~30分前、非トレーニング日は朝食時)
Duration8週間
Route経口

PWS+シネフリン

治療群
Doseシネフリン20 mg/日(1パケット/日)
Frequency1日1回(トレーニング日は運動の約15~30分前、非トレーニング日は朝食時)
Duration8週間
Route経口

アウトカム

OutcomeTypeEffectp-value
体重副次-時間 p=0.003; 群×時間 p=0.28
体脂肪量副次-群×時間 p=0.61
除脂肪量副次-時間 p=0.001; 群×時間 p=0.28
体脂肪率副次-群×時間 p=0.36
総体水分率副次-群×時間 p=0.37
安静時心拍数副次-p=0.26
収縮期血圧副次-p=0.96
拡張期血圧副次-p=0.54
ストループ単語数副次--
ストループ色名数副次-交互作用傾向 p=0.087
ストループ単語-色数副次-二次効果 p=0.04
運動遂行準備感(VAS複合スコア)副次-群 p=0.27; 時間 p<0.001; 群×時間 p=0.66
ベンチプレス1RM主要--
レッグプレス1RM主要--
ウィンゲート最大パワー主要--有意
ウィンゲート平均パワー主要--
ウィンゲート総仕事量主要--
総挙上量(上肢/下肢)副次-群 p=0.69
相対エネルギー摂取量副次-p=0.19
タンパク質摂取量副次-p=0.72
炭水化物摂取量副次-p=0.55
脂質摂取量副次-p=0.79
筋・肝酵素/異化マーカー(ALP、AST、ALT、クレアチニン、BUN、CK、LDH)副次-群 p=0.43; 時間 p<0.001; 群×時間 p=0.66
血糖・脂質パネル副次-群 p=0.44; 時間 p<0.001; 群×時間 p=0.58
白血球分画を含む全血球計算(CBC)副次-群 p=0.78; 時間 p=0.06; 群×時間 p=0.013有意
臨床正常範囲を超える血液化学値の発現率副次--
報告された副作用(めまい、頭痛、動悸、心悸亢進、息切れ、神経過敏、霞み目、その他)副次--

安全性

Serious AEs0
めまい、頭痛、心拍数の急上昇、動悸、息切れ、神経過敏、霧視、その他の症状について報告された頻度および重症度は、参加者の90~98%が試験を通じて各項目で0点(症状なし)と報告するほど低頻度であったため、統計解析は妥当ではなかった。医療機関への紹介を必要とした研究参加者はいなかった。血液生化学検査パネルにおいて有意な群×時間交互作用は認められず、正常臨床範囲を超える血液値を示した参加者数にも有意差は認められなかった(表11、カイ二乗検定)。

結論

レジスタンストレーニング中に8週間PWS(トレーニング後サプリメント)およびPWS+S(シネフリン添加)を摂取したところ、明らかに健康な男性において、有意な副作用を伴うことなく、認知機能および運動パフォーマンスの一部の指標が改善した(特に4週時点で顕著)。しかし、これらの効果は8週時点までにプラセボとほぼ同程度となり、PWSに20mgのシネフリンを追加しても、体組成、認知機能、運動パフォーマンスにおいてPWS単独に対する上乗せ効果は認められなかった。

限界

  • 提供されたシネフリンの量(20mg/日)は、体重/体脂肪減少効果を報告した他の研究(例:Kaatsらの49~98mg/日)で使用された用量よりも少なく、これが体組成における上乗せ効果が認められなかった理由を説明しうる。
  • 使用されたパフォーマンステスト(1RM筋力、Wingate無酸素性能力テスト)は、実行機能・認知機能を大きく必要としない可能性があり、認知機能の改善と運動パフォーマンスとの関連を検出する能力を制限した可能性がある。
  • 4週時点で観察されたPWSによる認知機能および筋力への見かけ上のエルゴジェニック効果は、8週時点まではプラセボに対して持続されず、継続使用に伴い効果が経時的に減弱する可能性が示唆される。
  • 本試験はClinicalTrials.govに研究実施後の2016年12月16日に遡及的に登録された。
  • ほとんどのアウトカムにおいて有意な全体的MANOVA交互作用は認められなかったため、報告されている群間差の多くは、主要な全体検定(オムニバス検定)ではなく、副次的解析(ベースライン共変量MANOVAおよび95%信頼区間の比較)に基づくものである。
このコンテンツはAI(LLM)によって生成されています。正確性には十分注意を払っておりますが、重要な情報については原著論文をご確認ください。
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