NMNサプリで持久力アップ?ランナー48名の臨床試験が示す運動パフォーマンスへの効果
ポイント
「もっと長く、もっと楽に走りたい」——そんなランナーの願いに応える可能性を示す研究が発表されました。中国・広州体育大学の研究チームが、アマチュアランナー48名(27〜50歳)を対象に行った6週間のランダム化二重盲検試験で、NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)サプリメントが持久力向上に貢献する可能性が明らかになりました。
参加者は4グループに分けられ、1日300mg、600mg、1200mgのNMN、またはプラセボを摂取しながら、週5〜6回の有酸素トレーニング(ランニングとサイクリング)を継続。その結果、特に600mg以上を摂取したグループで「換気閾値(VT1・VT2)」と呼ばれる、いわば「楽に走れる限界点」が有意に向上しました。
興味深いのは、最大酸素摂取量(VO2max)自体は変化しなかった点です。研究者らは、この効果が心臓機能の改善ではなく、「骨格筋の酸素利用効率の向上」によるものと結論づけています。つまり、同じ心拍数でもより効率的にエネルギーを生み出せるようになる可能性があるということです。効果は用量依存的で、高用量グループほど改善幅が大きい傾向が見られました。6週間の試験期間中、副作用の報告はゼロで、安全性も確認されています。
2024年以降の後続研究でも、NMNと運動の組み合わせが代謝機能や持久力改善に有望であることが動物実験で再確認されており、東京大学やワシントン大学の研究でもNMNが筋力やパフォーマンスに好影響を与える可能性が報告されています。
あなたの生活にどう関係する?
摂取量の目安: 本研究では600〜1200mg/日で効果が確認されましたが、他の研究では250〜500mg/日でもNAD+レベルの上昇が報告されています。初めての方は300〜500mg/日から開始し、体調を見ながら調整するのが現実的です。
タイミング: 研究では1日2回(朝食時と昼食時または午後)にトレーニング前に摂取。運動との組み合わせで効果が高まる可能性があるため、トレーニング習慣のある方に特に適しています。
製品選びのポイント: 純度99%以上、GMP認定工場製造、第三者機関による品質試験済みの製品を選びましょう。価格帯は幅広く、1ヶ月2,000〜数万円まで様々。「NMN含有量÷価格」でコスパを比較し、継続しやすい価格帯を選ぶことが重要です。
最も効果が期待できる人: 27〜50歳の定期的にトレーニングを行うアマチュアアスリート、持久系スポーツを行う方、トレーニング効果をさらに高めたい方。
注意が必要な人: 持病がある方、薬を服用中の方は必ず医師に相談を。また、運動習慣のない方への効果は本研究では検証されていません。
注意点
研究対象者の限界: 参加者は1〜5年の運動歴を持つ健康なアマチュアランナー48名(男性40名、女性8名)のみ。一般消費者や高齢者、運動習慣のない人への効果は不明です。女性サンプルが少なく、性差の分析もできていません。
測定方法の制約: テストは自転車エルゴメーターで実施されましたが、参加者の主な運動はランニング。トレッドミルでの測定より約10%低い値が出る可能性があり、実際のランニングパフォーマンスへの効果は推測の域を出ません。
長期安全性は未確認: 6週間の試験では副作用ゼロでしたが、長期摂取(数ヶ月〜数年)の安全性データは限られています。一部の動物実験では高用量での懸念(糖代謝への影響等)も報告されており、がんリスクとの関連も完全には解明されていません。
市販製品との違い: 研究で使用されたNMNは品質管理された研究用製品。市販サプリメントの純度や品質は製品により大きく異なります。「NMN配合」と謳っていても実際の含有量が不明確な製品もあるため注意が必要です。
専門家への相談: 新しいサプリメントを始める前には、特に持病がある方は必ず医師に相談してください。
専門用語の解説
研究データ
試験デザイン
総合評価
JADAD Quality Assessment評価詳細
ランダム化
0点 / 2点盲検化
2点 / 2点脱落者・除外者
1点 / 1点対象集団
- 健康なレクリエーションランナー
- 運動歴1〜5年
- 非喫煙者
- カフェインまたはアルコール飲料を摂取していない
- 薬物またはサプリメントの使用歴がない
介入
プラセボ
対照群NMN低用量
治療群NMN中用量
治療群NMN高用量
治療群運動トレーニングプログラム
治療群アウトカム
| Outcome | Type | Effect | p-value |
|---|---|---|---|
| 最大酸素摂取量(VO2max) | 主要 | - | - |
| 第一換気閾値(VT1)時のVO2 | 副次 | - | -有意 |
| VT1時のVO2max割合 | 副次 | - | -有意 |
| 第一換気閾値(VT1)時のパワー | 副次 | - | -有意 |
| 第二換気閾値(VT2)時のパワー | 副次 | - | -有意 |
| VT1時の心拍数 | 副次 | - | - |
| 酸素脈 | 副次 | - | - |
| ピークパワー(Mets) | 副次 | - | - |
| 体重 | 副次 | - | - |
| 体格指数(BMI) | 副次 | - | - |
| 体脂肪率 | 副次 | - | - |
安全性
結論
NMN補充は、アマチュアランナーの運動トレーニング中の有酸素能力を向上させる。この改善は用量依存的であり、心機能の改善よりも骨格筋の酸素利用能の向上によるものと考えられる。NMN補充と運動の組み合わせは、健康な若年および中年者においても換気閾値をさらに改善し、高用量でより良好な効果を示した。限界
- CPETはトレッドミルではなく自転車エルゴメーターで実施されたため、VO2maxおよびVT値が約10%過小評価されている可能性がある
- CPET中に血中乳酸値を同時測定していない
- 女性参加者数が限られており、性別による別々の分析ができなかった
- ランニングトレーニングの強度設定において、テスト間の互換性に個人差がある可能性がある