NMNサプリは夕方に摂ると効果的?高齢者の下肢機能と眠気改善に関する12週間の臨床試験
ポイント
「最近、足腰が弱ってきた」「日中の眠気がとれない」——そんな悩みを持つ方に注目してほしい研究結果が、日本の筑波大学から発表されました。
この研究では、65歳以上の高齢者108名を対象に、NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)250mgを12週間摂取した効果を、ランダム化二重盲検プラセボ対照試験という信頼性の高い方法で検証しました。参加者は「朝にNMNを摂取」「夕方にNMNを摂取」「朝にプラセボ」「夕方にプラセボ」の4グループに分けられ、摂取時間帯による効果の違いも調べられました。
最も興味深い発見は、夕方(18時〜就寝前)にNMNを摂取したグループで、下肢の機能(椅子から5回立ち上がる時間)と日中の眠気が最も大きく改善したことです。効果の大きさを示す指標では、5回立ち上がりテストでd=0.72、眠気でd=0.64と、いずれも中程度以上の改善効果が確認されました。
睡眠の質についても、夕方NMN摂取グループが入眠までの時間、日中の機能障害、主観的睡眠の質において最も大きな効果を示しました。ただし、グループ間で統計的に有意な差は確認されず、プラセボ効果の影響も見られたため、解釈には注意が必要です。2024年に発表された別の臨床試験でも、NMN摂取により高齢者の歩行速度維持と睡眠の質改善が報告されており、本研究の結果を支持する知見が蓄積されつつあります。
あなたの生活にどう関係する?
摂取量とタイミング 本研究では1日250mgを使用。市販のNMNサプリは250mg〜500mgの製品が主流で、本研究の用量は現実的な範囲です。夕方(18時以降)の摂取が効果的だった点は、一般的な「朝摂取」の推奨とは異なり、興味深い発見です。
誰に向いているか ・65歳以上で足腰の衰えが気になる方 ・日中の眠気や疲労感に悩む方 ・睡眠薬に頼りたくない方 本研究の参加者は自立歩行可能で認知症のない高齢者でした。
製品選びのポイント ・純度98%以上の高純度NMN製品を選ぶ(2024年の調査で品質にばらつきが報告されています) ・信頼できる第三者検査済みの製品を優先 ・継続使用が前提のため、コストパフォーマンスも重要な判断材料
期待できる効果の目安 効果を実感するまで最低12週間(約3ヶ月)の継続が目安。本研究でも6週目から改善が見られ始めました。
注意点
研究対象者の限定 本研究は日本人高齢者(65歳以上)が対象であり、若年層や他の民族への一般化には限界があります。また、参加者は睡眠、疲労、ストレスについて何らかの不調を感じている人が選ばれており、健康な方への効果は不明です。
プラセボ効果の存在 下肢機能や眠気の改善はプラセボ群でも見られました。NMN特有の効果なのか、期待による心理的効果なのかの切り分けが難しい状況です。
メカニズムは未解明 血液や尿中のNAD+濃度変化は測定されておらず、体内でNMNがどのように作用したかは直接確認されていません。客観的な睡眠測定(活動量計や睡眠ポリグラフ)も行われていません。
市販品との違いに注意 研究で使用されたNMNは三菱商事ライフサイエンス製の規格品です。市販サプリメントの品質は製品によって大きく異なる可能性があります。
専門家への相談が推奨されるケース 持病のある方、服薬中の方、がん治療中・経験者の方は、NMNがNAD+を介して細胞代謝に影響する可能性があるため、必ず医師に相談してください。
専門用語の解説
研究データ
試験デザイン
総合評価
JADAD Quality Assessment評価詳細
ランダム化
2点 / 2点盲検化
2点 / 2点脱落者・除外者
1点 / 1点対象集団
- 自立歩行が可能で研究に積極的に参加できる
- 認知症のない参加者
- 介護サービスの必要がない
介入
ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)
治療群プラセボ
対照群アウトカム
| Outcome | Type | Effect | p-value |
|---|---|---|---|
| ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)総合スコア | 主要 | - | - |
| PSQI 睡眠時間サブスケール | 主要 | - | - |
| PSQI 入眠時間サブスケール | 主要 | - | - |
| PSQI 睡眠薬使用サブスケール | 主要 | - | - |
| PSQI 睡眠障害サブスケール | 主要 | - | - |
| PSQI 日中機能障害サブスケール | 主要 | - | - |
| PSQI 睡眠の質サブスケール | 主要 | - | - |
| PSQI 睡眠効率サブスケール | 主要 | - | - |
| ねむけ(自覚症しらべ) | 主要 | - | p=0.02有意 |
| 不安定感(自覚症しらべ) | 主要 | - | - |
| 不快感(自覚症しらべ) | 主要 | - | - |
| だるさ(自覚症しらべ) | 主要 | - | - |
| 眼のつかれ(自覚症しらべ) | 主要 | - | - |
| 疲労総合スコア(自覚症しらべ) | 主要 | - | - |
| 握力 | 副次 | - | - |
| 5回椅子立ち上がりテスト(5-STS) | 副次 | - | p=0.04有意 |
| Timed Up and Go(TUG)テスト | 副次 | - | - |
| 5m通常歩行テスト | 副次 | - | - |
安全性
NMN摂取による副作用の報告なし。全群の摂取率は95%以上であった。結論
午後(post meridian)のNMN摂取は、高齢者の下肢機能(5-STS)を効果的に改善し、ねむけを軽減した。5-STS(p=0.04)とねむけ(p=0.02)で有意な交互作用が観察された。NMN_PM群は5-STS(d=0.72)とねむけ(d=0.64)において最大の効果量を示した。これらの知見は、特に午後/夕方に摂取した場合、NMNが高齢者の身体パフォーマンス低下の予防と疲労改善に有効である可能性を示唆している。限界
- NMNを含む可能性のある日常の食事は管理されておらず、日常の栄養素摂取に関する調査も実施されなかった
- NMN摂取により引き起こされた可能性のある生理的要因の変化は検討されなかった(身体測定と質問票のみ使用)
- 生体内でのNMNの生理的要因への直接的な効果は不明のまま - 血液、尿、筋肉の検査が必要
- 今後の研究では、アクチグラフィー、睡眠ポリグラフィー、睡眠日誌などの評価を追加する必要がある
- 5-STS、ねむけ、睡眠障害スコアにプラセボ効果が観察された
- 研究倫理ガイドラインに基づく研究デザインの説明により、参加者がプラセボをNMNと認識した可能性があり、これがプラセボ効果と4群間の有意でない交互作用を説明する可能性がある