クレアチン硝酸塩×カフェインで頭は冴える、でも筋トレの数字は変わらない――7日間トライアルが示した「効くのは脳」という結果
ポイント
プレワークアウト系サプリを試すなら「筋力アップ」を期待する人が多いはずですが、今回紹介する研究が示したのは意外にも「頭の切れ」への効果でした。米ジャクソンビル州立大学の研究チームは、筋トレ経験2年以上の男性アスリート12人を対象に、クレアチン硝酸塩(5g/日)、カフェイン(400mg/日)、その併用、プラセボの4条件を1週間ずつ、ランダムな順序・二重盲検で試すクロスオーバー試験を実施しました。同一人物が全条件を経験するため、個人差の影響を受けにくいのが強みです。結果、ベンチプレスやレッグプレスの挙上量、ウィンゲート自転車テストの瞬発力・持久力といった「体力面」の指標では、どの条件もプラセボと比べて統計的に明確な差はつきませんでした(カフェイン+併用群のベンチプレス反復回数だけは有意に増加)。一方で目を引いたのが認知機能です。色と文字が矛盾する「ストループ課題(干渉課題)」で、併用群はクレアチン硝酸塩単独群より有意に高いスコアを記録し、ベースラインからの伸びもカフェイン単独群を上回りました。つまり「筋トレのパフォーマンスは変わらないが、頭の反応速度・集中力は併用で伸びる」という、市販のプレワークアウト製品の謳い文句とは少しズレた結果が得られたわけです。有害事象はゼロ、血液検査や血圧・心拍にも異常なしという安全面の裏付けも得られています。
あなたの生活にどう関係する?
「トレーニング前に頭をシャキッとさせたい」「反応速度や判断力が問われる競技(球技・格闘技など)をしている」人には、クレアチン硝酸塩とカフェインの併用が選択肢になり得ます。摂取タイミングは運動の45分前が目安、用量は本研究基準でクレアチン硝酸塩5g(クレアチンとして4g相当)+カフェイン400mg(コーヒー3〜4杯相当)です。ただし400mgは市販のプレワークアウトに多い150〜300mgより多めなので、カフェイン感受性が高い人はまず低用量から試すのが無難です。純粋に「挙上重量を伸ばしたい」だけが目的なら、この用量・期間では効果は限定的だったため、通常のクレアチンモノハイドレート(安価で実績豊富)を最低4週間続ける方が費用対効果は高いでしょう。併用サプリはコストが上乗せされる分、認知面のメリットを重視する人向けと言えます。
注意点
対象は12人の筋トレ経験豊富な20〜30代男性のみで、女性や非トレーニーへの一般化はできません。摂取期間もわずか7日間、休薬期間も本来推奨される4週間より短い1週間に留まり、長期使用時の効果や安全性は未確認です。市販のクレアチン硝酸塩・カフェイン配合サプリは用量や配合成分が本研究と異なることが多く、ラベルの記載量を必ず確認してください。血中カフェイン濃度や筋クレアチン量は測定されておらず、効果のメカニズムは推測の域を出ません。持病がある方、カフェイン過敏な方、妊娠中の方は摂取前に医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
専門用語の解説
研究データ
試験デザイン
総合評価
JADAD Quality Assessment評価詳細
ランダム化
0点 / 2点盲検化
2点 / 2点脱落者・除外者
1点 / 1点対象集団
- 複関節レジスタンストレーニングの経験が2年以上あること
介入
クレアチン硝酸塩
治療群カフェイン
治療群クレアチン硝酸塩+カフェイン(併用)
治療群プラセボ(マルトデキストリン)
対照群アウトカム
| Outcome | Type | Effect | p-value |
|---|---|---|---|
| レッグプレス挙上量 | 主要 | - | - |
| ベンチプレス最大反復回数(70% 1RM、疲労困憊まで) | 主要 | - | p = 0.04有意 |
| ベンチプレス挙上量 | 主要 | - | - |
| レッグプレス最大反復回数(70% 1RM、疲労困憊まで) | 主要 | - | - |
| Wingate最大パワー(ピークパワー) | 主要 | - | - |
| Wingate平均パワー | 主要 | - | - |
| Wingate最小パワー | 主要 | - | - |
| Wingate総仕事量 | 主要 | - | - |
| Wingate疲労指数 | 主要 | - | - |
| ストループ単語テスト | 主要 | - | - |
| ストループ色テスト | 主要 | - | - |
| ストループ単語色(干渉)テスト | 主要 | 0.16 | p=0.007有意 |
| ストループ総正答数 | 主要 | - | - |
| 運動遂行への準備状態 | 副次 | - | - |
| 睡眠の質 | 副次 | - | - |
| 心拍数および血圧 | 副次 | - | - |
| 血液生化学検査パネル(CK、LDH、ALP、AST、ALT、脂質プロファイル、全血球計算[CBC]) | 副次 | - | - |
安全性
結論
クレアチン硝酸塩とカフェインの7日間併用摂取は、クレアチン硝酸塩単独摂取と比較して、また変化量(ベースラインからの変化)についてはカフェイン単独摂取と比較しても、認知機能、特にストループ単語色干渉(認知的干渉)テストの成績を改善した。いずれのサプリメント(クレアチン硝酸塩、カフェイン、またはその併用)も、ベンチプレス、レッグプレス、Wingate無酸素性運動能力においてプラセボと比較して統計学的に有意な改善をもたらさなかったが、ベンチプレスの疲労困憊までの反復回数の平均値は、カフェイン群および併用群でベースラインからプラセボ群に対して有意に増加した。有害事象は報告されず、血液生化学的および心血管系パラメータへの影響も認められなかったことから、両サプリメントの単独および併用投与の短期的な安全性が支持された。限界
- 実務上の制約により、ウォッシュアウト期間が理想とされる4週間より短い7日間であった
- レジスタンストレーニングを行っている男性アスリートに限定した研究であり、より広範な集団や性別多様な集団を代表していない可能性がある
- サンプルサイズは統計解析には十分であったが、個人間のばらつきを捉えきれていない可能性がある
- 血中カフェインピーク値、硝酸塩値、筋肉内クレアチン含有量を評価していない
- 厳密な食事管理が行われておらず、食事内容および副作用データは自己申告に依存している