RCTJadad 5/5RandomizedDouble-BlindPlacebo-Controlled

アシュワガンダで筋トレの成果は変わる? 8週間の臨床試験が示した筋力・筋肉量・持久力への効果

F1000Research2024年4月8日Vol. 12

ポイント

「同じ筋トレをしているのに、なぜかサプリを使っている人の方が伸びが早い」——そんな経験はないでしょうか。今回紹介するのは、インドの2施設で行われた8週間のランダム化比較試験(RCT)です。18〜45歳の健康な男女80人(普段からジムでトレーニングしている人たち)を、標準化アシュワガンダ根エキス「KSM-66」600mg/日(朝夕300mgずつ)を摂るグループと、見た目が全く同じプラセボ(でんぷんカプセル)を摂るグループにランダムに分け、どちらも同じレジスタンストレーニングを週3回、8週間続けてもらいました。結果、アシュワガンダ群はプラセボ群に比べて、ベンチプレスとレッグプレスの1RM(最大挙上重量)、胸囲・上腕囲、そしてVO2max(最大酸素摂取量、有酸素持久力の指標)のすべてで統計的に有意な改善を示しました。効果量(Cohenのd)はベンチプレス1.14、レッグプレス1.11、VO2max 1.03と、いずれも「非常に大きい」部類に入ります。男女別で見ても効果は一貫しており、女性でもベンチプレスの効果量は1.56と男性より高い数値でした。副作用の報告はゼロ、血液・肝腎機能検査にも異常なしという結果で、この研究は既存のアシュワガンダ研究の中でも質の高いデザイン(無作為化・二重盲検・プラセボ対照)で行われた点が特徴です。

あなたの生活にどう関係する?

今回使われたのは「KSM-66」という特定の標準化エキス(ウィザノライド5%以上)を1日600mg、朝晩300mgずつに分けて摂取する方法です。市販サプリを選ぶ際は、ラベルに「KSM-66」や標準化率の記載があるものを選ぶと、研究条件に近づけられます。あくまで「レジスタンストレーニングと併用して初めて意味のある効果」が出た研究なので、トレーニングをしていない人がサプリだけ飲んでも同じ効果は期待できません。効果が出るまでには8週間かかっており、即効性を求めるものではない点も覚えておきましょう。コスト面では他のパフォーマンス系サプリ(クレアチンなど)と比べて安価な部類に入り、味や粉っぽさが苦手な人にはカプセルタイプという飲みやすさも利点です。すでにトレーニング歴のある人ほど、この研究の対象者像(3か月以上のジム経験者)に近く、恩恵を受けやすいと考えられます。

注意点

本研究の対象はインド在住の18〜45歳・健康な既トレーニング者に限られ、高齢者や持病のある人、未トレーニング者への外挿は慎重にすべきです。資金提供元はエキス製造元のIxoreal BioMed社であり、利益相反の可能性は念頭に置く必要があります。8週間という短期間の結果であり、長期使用の効果・安全性は未確認です。加えて近年、アシュワガンダ関連の肝機能障害(黄疸・かゆみなど)の症例報告が国際的に増えており、2017年以降35例ほど報告されています。本試験では肝機能検査に異常は見られませんでしたが、持病がある方・妊娠中の方・他の薬を服用中の方は、自己判断で摂取を始めず医師や薬剤師に相談してください。体組成(体脂肪率)への効果は今回の研究では検証力不足で判断できていません。

専門用語の解説

アシュワガンダ(Withania somnifera)インド伝統医学アーユルヴェーダで古くから使われるナス科の植物。根の抽出物がストレス緩和や体力向上を目的にサプリメントとして流通している。
KSM-66アシュワガンダ根から抽出された標準化エキスのブランド名。ウィザノライドという活性成分を5%以上含むよう規格化されており、臨床研究で広く使われている。
1RM(1 Repetition Maximum)1回だけギリギリ挙げられる最大重量のこと。筋力トレーニングの成果を測る代表的な指標で、本研究ではベンチプレスとレッグプレスで測定された。
VO2max(最大酸素摂取量)運動中に体が取り込める酸素の最大量を示す指標。有酸素持久力・心肺機能の高さを表し、数値が高いほどスタミナがあるとされる。
効果量(Cohenのd)介入がどれだけ大きな差を生んだかを表す統計指標。一般的に0.2は小、0.5は中、0.8以上は大きい効果とされ、本研究では1.0を超える非常に大きな値が出た。
二重盲検プラセボ対照試験参加者・スタッフの双方が、誰が本物の薬(サプリ)を飲んでいるか分からない状態で行う試験デザイン。思い込みによる効果(プラセボ効果)や評価者の先入観を排除できる、信頼性の高い研究手法。
ITT解析(Intention-to-Treat/modified ITT)割り付けられた通りに全参加者を解析に含める原則。本研究では服薬遵守が著しく悪かった7人を除いた「modified ITT」で解析している。
ウィザノライドアシュワガンダに含まれる主要な生理活性成分群。抗酸化作用や副腎皮質ホルモンに似た構造を持つとされ、標準化エキスの品質指標として使われる。
研究データ

試験デザイン

Duration8 weeks
Registrationインド臨床試験登録(Clinical Trials Registry of India): CTRI/2018/07/014969

総合評価

JADAD Quality Assessment
5
/ 5

評価詳細

ランダム化

2 / 2
研究がランダム化されていると記載されているか?
はい+1
根拠: 本論文は、抄録、試験デザイン、および募集・ランダム化のセクションにおいて、本試験を繰り返し明示的に「ランダム化(randomized)」と記述しており、ランダム化の方法(コンピュータで生成された置換ブロック法、性別による層別化、1対1の割り付け)についても詳細に説明している。
ランダム化の方法が適切に記載されているか?
はい+1
根拠: 本論文は、ランダム化の方法について明示的に記述している:コンピュータで生成された層別ランダム化(性別による層別)を、20例ごとのランダム置換ブロック法を用いて実施し、各ブロック内で均等に割り付けた。コンピュータによるランダム化生成はJadadスケールにおいて適切な方法として認められているため、この基準を満たしている。

盲検化

2 / 2
研究が二重盲検であると記載されているか?
はい+1
根拠: 本論文は、抄録、試験デザインのセクション、緒言、および考察において、本試験を繰り返し明示的に「二重盲検(double-blind)」と記述しており、「はい」の回答基準を満たしている。
盲検化の方法が適切に記載されているか?
はい+1
根拠: 本論文は盲検化の方法を詳細に記述している:プラセボカプセルは、実薬であるアシュワガンダカプセルと外観、重量、質感、色調が同一になるよう製造され、盲検化を確保するために同一の容器に包装し、同等のラベル表示と固有のシリアル番号を付した。これは適切な二重盲検化の方法(外見上区別できないプラセボの使用)に該当し、Jadadスケールにおける適切な盲検化の基準を満たしている。

脱落者・除外者

1 / 1
脱落者数と脱落理由が記載されているか?
はい+1
根拠: 本論文は、各治療群における中止・脱落者の正確な人数(AG群3名、PB群4名)を性別内訳とともに明記し、中止の理由(旅行やその他の個人的な事情による意図しない失念)も記載しており、Jadadスケールにおける脱落・中止の記述に関する基準を満たしている。

対象集団

サンプルサイズ80
年齢範囲18-45 years
疾患・状態レジスタンストレーニング(筋力トレーニング)を行っている健常で身体活動性の高い成人(筋力・筋量増強および心肺持久力向上を目的とする)
Inclusion Criteria
  • 18~45歳の性別を問わない健常成人
  • スクリーニング前3ヶ月以上、定期的な身体活動(ジムでの筋力トレーニング)を行っている者
  • インフォームドコンセントに署名する意思がある者
  • 研究期間中、同一の運動スケジュールおよび食事レジメンに従うことに同意した者
  • 妊娠可能年齢の場合、バリア避妊法の使用に同意した者

介入

アシュワガンダ(KSM-66)標準化根抽出物

治療群
Dose1カプセルあたり300 mg(1日総量600 mg、withanolide 5%超含有)
Frequency1日2回
Duration8週間
Route経口

プラセボ(デンプン)

対照群
Dose1カプセルあたり300 mg(1日総量600 mg)
Frequency1日2回
Duration8週間
Route経口

アウトカム

OutcomeTypeEffectp-value
1回反復最大挙上重量(1RM)ベンチプレス主要1.14<0.0001有意
1回反復最大挙上重量(1RM)レッグプレス主要1.110.0005有意
上腕周囲径(筋周径)副次-<0.0001有意
胸囲(筋周径)副次-0.019有意
大腿周囲径(筋周径)副次--
心肺持久力(VO2max、最大酸素摂取量)副次1.03<0.0001有意
有害事象副次--

安全性

有害事象0
Serious AEs0
脱落率8.8%
研究期間中、有害事象は報告されなかった。両治療群とも、ベースラインから8週目にかけて、血液学的検査、腎機能検査、肝機能検査、甲状腺機能検査、およびバイタルサインに有意な変化は認められなかった。

結論

レジスタンストレーニングと併用したアシュワガンダ(KSM-66)根抽出物(600 mg/日)の8週間の摂取は、プラセボと比較して、男女両方の参加者において筋力(1RMベンチプレスおよびレッグプレス)、筋サイズ(上腕周囲径および胸囲)、心肺持久力(VO2max)を有意に改善し、有害事象は報告されなかった。これらの結果は、本サプリメントがアスリートにとって安全で効果的、かつ低コストなサプリメントとなり得ることを示唆している。

限界

  • コンプライアンス不良による予期しないデータ損失(追跡不能による脱落ではない)が発生したが、これはサンプルサイズの算出や研究計画において考慮されていなかった
  • 被験者の食事摂取量(カロリーおよびタンパク質摂取量)に関する定量的データが不足しており、被験者の日誌による自己申告のアドヒアランスのみに依拠していた
  • 両群の一部の被験者はカプセルを牛乳とともに摂取しており、本研究では牛乳摂取が研究パラメータに与える影響を明らかにすることができなかった
  • 本研究は8週間という短期間、レジスタンストレーニングを行っている成人のみを対象としているため、他の集団やより長期間への外挿は慎重に行うべきである
  • 体脂肪/身体組成の変化を評価するための十分な検出力を有していなかった
このコンテンツはAI(LLM)によって生成されています。正確性には十分注意を払っておりますが、重要な情報については原著論文をご確認ください。
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