RCTJadad 4/5RandomizedDouble-BlindPlacebo-Controlled

NR(ニコチンアミドリボシド)サプリが気道の炎症を約53%低減:COPDに対するNAD+補充療法の可能性を示す初の臨床試験

Nature Aging2024年11月15日Vol. 4 (12)

ポイント

加齢とともに減少する体内物質「NAD+」を補充するサプリメントとして注目されるニコチンアミドリボシド(NR)。今回、デンマークの研究チームが慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者を対象に行った初の臨床試験で、NRが気道の炎症を顕著に軽減することが明らかになりました。

この二重盲検プラセボ対照試験では、60歳以上のCOPD患者40名が参加し、NR群(1日2g、朝夕に分けて摂取)またはプラセボ群に無作為に割り付けられ、6週間継続しました。主要評価項目である気道の炎症マーカー「IL-8(インターロイキン8)」は、NR群でプラセボ群と比較して52.6%低減しました(95%信頼区間:-75.7%〜-7.6%)。さらに驚くべきことに、この抗炎症効果は摂取終了後12週間経っても持続していました(63.7%低減)。

NR摂取により、血中のNAD+濃度は2倍以上に上昇。探索的解析では、エピジェネティック年齢(生物学的老化の指標)の減少傾向や、DNA修復に関わる遺伝子経路の活性化、細胞老化の抑制を示唆する結果も得られました。

1日2gという比較的高用量でも、消化器症状などの副作用発生率はプラセボ群と差がなく、安全性が確認されました。COPDは喫煙や加齢と関連する進行性の疾患で、「肺の老化」とも呼ばれています。今回の結果は、NAD+補充が加齢に伴う慢性炎症に対処する可能性を示す重要なエビデンスです。

あなたの生活にどう関係する?

【サプリメント選びのポイント】 この研究では「ニコチンアミドリボシド(NR)」が使用されており、1日2g(1回1g、1日2回、食事と一緒に)という用量で効果が確認されました。市販のNRサプリメント(TruNiagenやElysium Health「Basis」など)は1日250-500mg程度の製品が多く、研究で使用された用量より少ない点に注意が必要です。

【摂取タイミング】 食事と一緒に朝夕2回に分けて摂取することで、安定した血中濃度が維持されます。

【期待できる効果】 血中NAD+濃度の上昇は2週間程度で確認されますが、炎症マーカーの改善には6週間以上の継続が必要でした。さらに、効果は摂取終了後も12週間持続したことから、継続的な摂取で蓄積効果が期待できます。

【こんな方に注目してほしい】 ・加齢に伴う慢性的な炎症が気になる60歳以上の方 ・喫煙歴があり、呼吸器の健康が気になる方 ・NAD+サプリ(NMNやNR)に関心があるアンチエイジング志向の方

【NMNとの比較】 NMNも人気のNAD+前駆体ですが、NRはより多くの臨床試験データがあり、細胞への取り込み経路も明確です。両者とも最終的にNAD+に変換されますが、目的や予算に応じて選択してください。

注意点

【研究の限界を理解しましょう】 ・参加者はCOPD患者40名のみと小規模で、一般の健康な方への効果は不明です ・信頼区間が広く(-75.7%〜-7.6%)、効果の大きさには不確実性があります ・NR群のベースラインIL-8値がプラセボ群より高かったため、改善幅が過大評価されている可能性があります ・6週間という短期間の試験であり、長期的な効果や安全性は未検証です

【市販サプリとの違い】 研究で使用されたのはElysium Health社提供の製品で、一般のサプリメントと品質や純度が異なる可能性があります。また、2g/日という用量は多くの市販品の4-8倍に相当します。

【注意が必要な方】 ・現在治療中の疾患がある方は必ず医師に相談してください ・COPDや喫煙歴のない健康な方への効果は本研究では確認されていません ・サプリメントは医薬品ではなく、疾患の治療を目的としていません

【今後必要な研究】 大規模・長期試験での効果確認、症状改善や増悪予防への効果、最適用量の特定が待たれます。

専門用語の解説

NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)細胞のエネルギー産生やDNA修復に不可欠な補酵素。加齢とともに減少し、様々な老化現象と関連するとされる
ニコチンアミドリボシド(NR)ビタミンB3の一種で、体内でNAD+に変換される前駆体。サプリメントとして摂取することでNAD+レベルを上昇させる
IL-8(インターロイキン8)炎症を促進するタンパク質(サイトカイン)の一種。白血球を炎症部位に引き寄せ、慢性炎症や老化に関与する
エピジェネティック年齢DNA上のメチル化パターンから算出される生物学的年齢。実年齢より高い場合、身体が加速的に老化していることを示す
細胞老化(セネセンス)細胞が分裂を停止し、炎症性物質を分泌する状態。蓄積すると組織の機能低下や慢性炎症を引き起こす
SASP(老化関連分泌表現型)老化細胞から分泌される炎症性物質の総称。IL-8やIL-6などが含まれ、周囲の細胞にも老化を促進する
二重盲検プラセボ対照試験研究者も参加者も誰が本物の薬を飲んでいるか分からない状態で行う試験。最も信頼性の高い臨床試験デザイン
COPD(慢性閉塞性肺疾患)喫煙などにより気道が狭くなり、呼吸が困難になる進行性の肺疾患。世界の死因第3位で、加齢に伴う肺老化と関連
研究データ

試験デザイン

Duration18 weeks
RegistrationClinicalTrials.gov: NCT04990869

総合評価

JADAD Quality Assessment
4
/ 5

評価詳細

ランダム化

2 / 2
研究がランダム化されていると記載されているか?
はい+1
根拠: 本研究は論文全体を通じて明示的かつ繰り返しランダム化試験として記載されている。抄録には「ランダム化二重盲検プラセボ対照臨床試験」と明記されている。方法のセクションでは、「ブロックサイズ4の置換ブロックランダム化」の使用や層別化手順を含むランダム化プロセスが詳細に記載されている。
ランダム化の方法が適切に記載されているか?
はい+1
根拠: 論文には使用されたランダム化方法が明確に記載されている:ブロックサイズ4の置換ブロックランダム化。これは予測不能性を維持しながら治療群への均衡のとれた割り付けを確保する適切なランダム化方法である。COPD患者についてはCOPDアセスメントテスト(CAT)スコアによる層別化も行われた。置換ブロックランダム化は臨床試験においてランダム割り付け順序を生成するための確立された適切な手法である。

盲検化

2 / 2
研究が二重盲検であると記載されているか?
はい+1
根拠: 本研究は抄録、本文、考察、方法を含む論文の複数のセクションで明示的に「二重盲検」と記載されている。「二重盲検」という用語は試験デザインを特徴づけるために原稿全体で一貫して使用されている。
盲検化の方法が適切に記載されているか?
はい+1
根拠: 二重盲検の方法が記載されており、かつ適切である。論文にはプラセボカプセルが「実薬錠剤と同じサイズ、色、匂い、外観」を持つよう実薬と区別がつかないように設計されたことが明記されている。両治療群とも同じ形式(1日2回250 mgカプセル4錠)で介入を受けており、治療割り付けを明らかにし得る視覚的、嗅覚的、触覚的手がかりを排除している。これは経口サプリメント試験における適切で厳密な盲検化方法を表している。

脱落者・除外者

0 / 1
脱落者数と脱落理由が記載されているか?
いいえ0
根拠: 論文には各治療群の脱落者数が記載されている(「プラセボ群のCOPD患者1名とNR群の2名が治療後来院前に脱落し、さらにNR群の2名が追跡調査来院前に脱落した」)が、これらの脱落理由は記載されていない。Jadad基準では各治療群について脱落者の数と理由の両方を記載することを要求している。論文には患者が「脱落した」ことのみが記載されており、その理由(例:有害事象、追跡不能、同意撤回、プロトコル違反など)は明記されていない。

対象集団

サンプルサイズ58
年齢範囲Mean: 71.9 歳
疾患・状態慢性閉塞性肺疾患(COPD)
Inclusion Criteria
  • 60歳以上
  • BMIが18.5 kg/m²以上40.0 kg/m²以下
  • 登録時の体重が40 kg以上
  • 10パックイヤー以上の喫煙歴があるが、6ヶ月以内に禁煙した元喫煙者
  • 吸入ステロイド薬を使用していない
  • 呼吸器感染症に関連した症状悪化の経験を報告している
  • 血中好酸球数が0.3 x 10^9 cells/L未満
  • 気管支拡張薬吸入後のFEV1/FVC < 0.7(COPD診断用)

介入

ニコチンアミドリボシド(NR)

治療群
Dose1日2 g(250 mgカプセル4錠)
Frequency1日2回、食事と共に(朝および夕)
Duration6週間
Route経口

プラセボ

対照群
Dose250 mgカプセル4錠
Frequency1日2回、食事と共に(朝および夕)
Duration6週間
Route経口

アウトカム

OutcomeTypeEffectp-value
喀痰インターロイキン-8(IL-8)主要-52.60 (-75.70--7.60)p=0.03有意
全血NAD+レベル副次71.10 (57.20-85.00)-
血漿IL-6レベル副次--
エピジェネティック年齢(老化速度)副次--
鼻腔上皮細胞における遺伝子発現副次--
予測細胞老化副次--
喀痰好中球分画比率副次-58.00 (-78.00--17.00)p=0.009有意

安全性

有害事象29
Serious AEs0
合計29件の有害事象が26名の参加者から報告され、NRとプラセボを比較して差は認められなかった。比較的高用量のNR経口補充は、COPDの有無にかかわらず高齢者において安全で忍容性が良好であることが判明した。

結論

ニコチンアミドリボシド(NR)の補充は、安定期COPD患者において6週間の治療後、プラセボと比較して気道炎症(IL-8)を52.6%減少させ、その効果は治療終了後12週間持続した。NRは全血NAD+レベルを2倍以上増加させたが、血漿IL-6には効果がなかった。探索的解析では、気道におけるゲノム完全性に関連する遺伝子経路の上方制御と、おそらく細胞老化の減少を介したエピジェネティック老化の減少の兆候が示された。NRは1日2 gで安全かつ忍容性が良好であった。これらの知見は、NRがCOPD患者にとって実行可能な治療選択肢となる可能性を示唆しているが、探索的解析は今後の試験での確認が必要である。

限界

  • 全患者から対の喀痰サンプルを収集することが困難であったため、当初の検出力計算と比較してサンプルサイズが小さい
  • COVID-19パンデミックにより研究が制約を受け、他の炎症マーカーやNAD+メタボロミクスを含む一部の研究評価が失われた
  • 6週間という短い治療期間
  • 主要アウトカムの信頼区間が大きい
  • ランダム化によりNR群のベースラインIL-8レベルがプラセボ群より高く、結果に交絡を生じる可能性がある
  • 細胞老化は主要な老化マーカーの包括的評価なしにディープニューラルネットワーク予測を用いて測定された
  • 多重性の補正なしに0.05有意水準で多数の二次仮説検定が実施された
  • 肺健常対照者の便宜的サンプルにより比較の一般化可能性が制限される
このコンテンツはAI(LLM)によって生成されています。正確性には十分注意を払っておりますが、重要な情報については原著論文をご確認ください。