アシュワガンダ600mgは女性アスリートの回復力と睡眠の質を高めるか:4週間RCTが示したこと
ポイント
練習翌日の疲れが抜けない、夜ぐっすり眠れない——そんな悩みを持つ女性アスリートやハードにトレーニングする人に注目したいのが、ストレス対策ハーブ「アシュワガンダ」の新しい研究です。スペイン・バルセロナのプロ女子サッカー選手30人を対象に、600mg/日のアシュワガンダ根抽出物とプラセボを4週間比較するランダム化比較試験(RCT)が行われました。主観的な回復実感(TQR)、睡眠を含む心身コンディション(Hooper Index)、疲労感(RPE)、握力やジャンプ力などの筋力を測定した結果、アシュワガンダ群はプラセボ群より4週間後の回復実感が有意に高く(p=0.039)、睡眠の質は摂取2週間という早い段階で改善が見られました(p=0.038)。握力や投球パワーの向上も観察されましたが、これは食事中の炭水化物摂取量の影響が大きいと分析されており、アシュワガンダ単独の効果とは言い切れません。プロテインやクレアチンのような「筋力アップの主役」というより、睡眠とリカバリーの土台を整えるサポート役として位置づけるのが妥当そうです。実際、2026年に発表された追跡研究でも、女性アスリートは回復感の改善とコルチゾール安定という似た傾向が報告されています。
あなたの生活にどう関係する?
試すなら本研究と同じ1日600mgの標準化根抽出物(KSM-66など)を目安に、まず2〜4週間続けてみるのが現実的です。睡眠の質への効果はプラセボとの差が2週間ほどで見え始めた一方、回復実感の差がはっきり出たのは4週間後なので、焦らず継続しましょう。特にハードな練習期で寝つきや疲労回復に悩む女性アスリート、月経周期によるコンディション変動を感じる人に向いています。筋力そのものの向上を主目的にするなら、本研究では炭水化物摂取の影響が大きく、プロテインや糖質補給の見直しの方が優先度は高いでしょう。妊娠・授乳中、甲状腺疾患がある人、他のサプリや薬を服用中の人は開始前に医師へ相談してください。
注意点
本研究はプロサッカー選手30人という少人数・単一競技・単一施設での結果で、一般のジム利用者や男性アスリートにそのまま当てはまるとは限りません(別の団体競技を対象にした追跡研究では男女で効果の出方が異なりました)。また二重盲検化の記載がなく脱落者数も報告されておらず、Jadadスコアは5点満点中0点と研究デザインの質評価は低めです。市販サプリは抽出方法や有効成分(ウィザノライド)含有量が製品ごとに異なり、本研究の原料と同一とは限りません。「ストレス軽減」「テストステロン増加」等の広告表現は本研究の範囲外の主張である点に注意し、持病や服薬中の方は事前に専門家へ相談しましょう。
専門用語の解説
研究データ
試験デザイン
総合評価
JADAD Quality Assessment評価詳細
ランダム化
0点 / 2点盲検化
-1点 / 2点脱落者・除外者
0点 / 1点対象集団
介入
アシュワガンダ根抽出物
治療群プラセボ
対照群アウトカム
| Outcome | Type | Effect | p-value |
|---|---|---|---|
| 総合的回復の質(Total Quality Recovery: TQR) | 主要 | - | p=0.026有意 |
| 自覚的睡眠の質(Hooper Index睡眠下位尺度) | 主要 | - | p=0.038有意 |
| Hooper Index(総合スコア) | 副次 | - | - |
| 自覚的運動強度(Rate of Perceived Exertion: RPE) | 副次 | - | - |
| 握力 | 副次 | - | p=0.005有意 |
| メディシンボール投げ(Medicine Ball Throw: MBT) | 副次 | - | <0.001有意 |
| 反動動作を伴う垂直跳び(Countermovement Jump: CMJ) | 副次 | - | - |
| 最大パワー | 副次 | - | - |
| 体重 | 副次 | - | <0.001有意 |
結論
28日間にわたる600mgのアシュワガンダ根抽出物の摂取は、女子サッカー選手における総合的回復度(Total Quality Recovery: TQR)を改善し、主観的な睡眠の質を高める可能性がある。限界
- 研究対象がプロの女子サッカー選手に限定されているため、他の競技者集団への一般化可能性が制限される可能性がある
- この集団におけるアシュワガンダの最適な用量は確立されていない
- 女性アスリートに対するアシュワガンダの影響に関する研究は全体的にまだ限られている