RCTJadad 5/5RandomizedDouble-BlindPlacebo-Controlled

アシュワガンダは"追い込み期"のストレスを和らげる?チームスポーツ選手42日間試験で見えた男女別の効果

Nutrients2026年1月12日Vol. 18 (2)

ポイント

ハードなプレシーズン合宿は体づくりに欠かせない一方、コルチゾールが上がりやすく回復が遅れたり、オーバートレーニングのリスクが高まったりします。スペインの研究チームは、ラグビー・水球・サッカーの選手56人(男女各28人)を対象に、KSM-66アシュワガンダ根抽出物600mg/日、またはプラセボ(ひよこ豆粉カプセル)を42日間、二重盲検・ランダム化・プラセボ対照で比較しました。結果は男女で異なるパターンを示しています。女性ではプラセボ群の唾液コルチゾールが明らかに上昇したのに対し、アシュワガンダ群は安定を維持し、疲労感・筋肉痛・総合的な「調子」を示すHooper Indexも改善しました。男性ではプラセボ群のコルチゾン(コルチゾールの代謝物)が上昇したのに対しアシュワガンダ群は安定し、さらに垂直跳び(カウンタームーブメントジャンプ)の高さが有意に向上しました。一方でベンチプレスやスクワットの1RM、持久力テストには差が見られませんでした。つまり「コルチゾールを無理に下げる」のではなく、練習負荷で上がりがちなストレス反応を"行き過ぎさせず安定させる"方向に働いた可能性が示唆される結果です。2026年1月の発表後、業界メディアも「性別特異的な回復サポート」として注目しており、青少年サッカー選手を対象とした追加試験も進行中です。

あなたの生活にどう関係する?

臨床試験で使われたのはKSM-66(withanolides 5%以上に標準化された根由来抽出物)600mg/日を、夕食時に水と一緒に1回摂取するというシンプルな方法です。ハードな練習期や大会前などコルチゾールが上がりやすい時期に試す価値があり、女性は「回復実感」の改善、男性は「跳躍力」の向上が報告されました。製品選びでは「root extract(根由来)」「withanolides ≥5%標準化」の表記を確認し、葉由来や含量不明の安価品は避けましょう。効果実感には少なくとも4〜6週間の継続摂取が必要で、単発摂取での即効性は期待しにくい点も踏まえておくとよいでしょう。

注意点

対象はバルセロナの準エリート選手56人という限られた集団で、しかも夏の高温多湿(気温約30℃、湿度70〜80%)という特殊な環境下での結果です。効果は男女で分かれ、本研究は性差の検証を目的に設計されたものではないため、知見は仮説的なものと捉えるべきです。原料・資金はメーカー(Ixoreal Biomed)提供で利益相反があります。市販製品は用量・原料規格が試験品と異なる場合があり、同等の効果を保証しません。過去には葉由来や含量不明の製品での肝障害報告もあるため、薬を服用中の人や既往症のある人は使用前に医師へ相談してください。

専門用語の解説

KSM-66アシュワガンダの根のみから抽出し、有効成分ウィザノライドを5%以上に標準化した市販原料。本試験で使用された製品。
ウィザノライド(withanolides)アシュワガンダに含まれる主要な活性成分群で、ストレス適応(アダプトゲン)作用の源とされる化合物。
唾液コルチゾールストレスホルモンの一種で、運動や心理的ストレスで上昇する。唾液から測ることで採血より簡便に評価できる。
コルチゾンコルチゾールの不活性型代謝物。日々のブレが少なく、トレーニング負荷の指標として使われる。
HPA軸(視床下部-下垂体-副腎系)ストレス反応を制御する内分泌系のネットワーク。過剰な活性化は回復の遅れにつながる。
Hooper Index(フーパー指数)睡眠・疲労・筋肉痛・ストレスの4項目を自己評価するアスリート向けの回復モニタリング指標。数値が低いほど良好。
DOMS(遅発性筋肉痛)運動後1〜2日してから現れる筋肉痛。回復状態を示すHooper Indexの一項目として評価される。
カウンタームーブメントジャンプ(CMJ)一度しゃがみ込んでから跳ぶ垂直跳びのテスト。下半身の爆発的パワーや神経筋の疲労度を評価する指標。
二重盲検プラセボ対照試験参加者も研究者も、どちらの群(本物/偽薬)に割り当てられたか分からない状態で行う、信頼性の高い臨床試験デザイン。
研究データ

試験デザイン

Duration6 weeks
RegistrationClinicalTrials.gov: NCT07041853

総合評価

JADAD Quality Assessment
5
/ 5

評価詳細

ランダム化

2 / 2
研究がランダム化されていると記載されているか?
はい+1
根拠: 本論文は、「無作為に割り付けられた(randomly assigned)」「ランダム化…デザイン(randomised... design)」「オンライン…ランダム化割り付けプログラムを用いてランダム化された」といった表現を繰り返し用いて、本試験が無作為化試験であることを明示的に述べている。結論部分でも本試験は「ランダム化試験(randomised trial)」と言及されている。
ランダム化の方法が適切に記載されているか?
はい+1
根拠: 本論文では、オンラインのランダム化割り付けプログラム(randomizer.org)を用いて参加者を各群に割り付けたことが記載されており、性別による均等配分がなされている。これはコンピュータ生成によるランダム化方法であり、Jadadスケールの基準において適切なランダム化方法とみなされる。

盲検化

2 / 2
研究が二重盲検であると記載されているか?
はい+1
根拠: 方法(2.1 試験デザイン)、考察(限界と強み)、結論のいずれのセクションにおいても、本試験は「二重盲検(double-blind)」であると明示的に記載されており、本基準を満たす。
盲検化の方法が適切に記載されているか?
はい+1
根拠: 本論文には、具体的な盲検化方法を伴う二重盲検デザインが記載されている。ASH群およびプラセボ群のいずれも、600 mg/日をヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の同一カプセルに封入して投与しており、ひよこ豆粉(チックピア粉)はアシュワガンダ抽出物との外観の類似性を理由に特に選定されている。投与・評価を行う研究者も割り付けに対して盲検化されていた。これは、適切かつ具体的に記述された盲検化方法(同一のカプセル化と外観の一致したプラセボ)に該当し、Jadadスケールの本項目における「あり」の基準を満たす。

脱落者・除外者

1 / 1
脱落者数と脱落理由が記載されているか?
はい+1
根拠: 本論文では、各群における中止例数(ASH群2名、PLA群1名)とその理由(介入とは無関係な日程上の都合)の両方が具体的に記載されており、各治療群における中止・脱落について記述するというJadad基準を満たしている。

対象集団

サンプルサイズ56
年齢範囲18-35 years
疾患・状態プレシーズントレーニング中の健康なチームスポーツ選手(ラグビー、水球、サッカー)
Inclusion Criteria
  • スペイン、バルセロナのプロスポーツアカデミーに所属するチームスポーツ選手
  • 18歳以上
  • 準エリートレベルで競技していること
  • 健康であり疾患がないと判定されていること

介入

KSM-66アシュワガンダ根抽出物

治療群
Dose600 mg/日
Frequency1日1回、夕食時にコップ1杯の水とともに摂取
Duration42日間
Routeoral

プラセボ(ひよこ豆粉)

対照群
Dose600 mg/日
Frequency1日1回、夕食時にコップ1杯の水とともに摂取
Duration42日間
Routeoral

アウトカム

OutcomeTypeEffectp-value
唾液コルチゾール主要-p=0.01有意
唾液コルチゾン副次-p=0.0003有意
唾液アルファアミラーゼ副次-p=0.022有意
唾液テストステロン副次-p=0.915
唾液DHEA-S(デヒドロエピアンドロステロン硫酸塩)副次-p=0.386
テストステロン/コルチゾール比(T/C比)副次-p=0.351
Hooper Index(フーパー指数)総合スコア副次-p=0.005有意
遅発性筋肉痛(DOMS)副次-p=0.0002有意
疲労感副次-p=0.015有意
ストレス感副次--
睡眠の質副次--
握力副次--
スクワット1RM(最大挙上重量)副次--
ベンチプレス1RM(最大挙上重量)副次--
デッドリフト1RM(最大挙上重量)副次--
パワークリーン1RM(最大挙上重量)副次--
懸垂パフォーマンス副次--有意
カウンタームーブメントジャンプ(CMJ)高副次-p=0.0003有意
立ち幅跳び副次--
ブロンコテスト(有酸素能力)副次--
サプリメント満足度副次-p=0.0004有意

安全性

有害事象2
Serious AEs0
脱落率5.1%
本介入は全体的に良好な忍容性を示した。有害事象は各群で1件ずつ報告された。未診断のナス科植物アレルギーの可能性を考慮し、消化器系の不調は注意深くモニタリングされる潜在的有害事象であった。残った参加者ではサプリメント服薬遵守率は100%であった。

結論

本二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)では、プレシーズントレーニング期間中に600 mg/日のアシュワガンダ根エキスを42日間補給したところ、プラセボと比較して性別特異的な効果が認められた。すなわち、女性アスリートでは回復の自覚(Hooper指数、遅発性筋肉痛(DOMS)、疲労感)の改善、男性アスリートでは下肢筋力(カウンタームーブメントジャンプ:CMJ)の改善が見られた。トレーニング後の唾液中コルチゾール(女性)および唾液中コルチゾン(男性)は、アシュワガンダ補給群では安定を維持した一方、プラセボ群では有意な上昇が認められ、アシュワガンダはトレーニングに伴うホルモン反応が高まる時期における生理的ストレスバイオマーカーの安定化に寄与する可能性が示唆された。

限界

  • 便宜的サンプリングを用いたため、研究対象集団を超えた外的妥当性が制限される
  • クロスオーバーデザインを採用していないため、潜在的交絡因子の統制に限界がある
  • 食事摂取量が記録されておらず、回復およびパフォーマンスのアウトカムに対する潜在的交絡因子となりうる
  • 参加者が異なるトレーニング背景とパフォーマンスレベルを持つ3種類の異なる競技から集められたことによるベースラインの異質性
  • 参加者間で評価の実施順序が標準化されていない
  • 概日リズムの変動を減らすために夕方に唾液採取を行ったにもかかわらず、概日リズムの個人差は潜在的な限界として残る
  • Bonferroni補正を行ったにもかかわらず、多重比較により偽陽性結果のリスクが増加する可能性がある
  • 本研究は性差の検討を主目的として設計されたものではない
  • 試験期間中、参加者は高い周囲温度(約30°C)と湿度(70~80%)に曝露されており、これがホルモンおよびパフォーマンスの反応に影響を与えた可能性がある
  • 欠測データ(ホルモン値29件、筋力値32件)への対応として多重代入法を要した
このコンテンツはAI(LLM)によって生成されています。正確性には十分注意を払っておりますが、重要な情報については原著論文をご確認ください。
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