RCTJadad 1/5RandomizedPlacebo-Controlled

クレアチンは「筋トレ2時間前」に飲むと一番効く?単回摂取のタイミングを比較した最新パイロット試験

Nutrients2026年6月1日Vol. 18 (11)

ポイント

筋トレ前・トレ中・トレ後——クレアチンはいつ飲むのが一番効果的なのでしょうか。この疑問に答えるため、チュニジアの研究チームは健康な活動的男性11人を対象に、単回用量(体重1kgあたり0.1g)のクレアチンを「トレーニング2時間前に一気飲み」「セット間に分割摂取」「トレーニング直後に摂取」の3パターンで比較し、さらにプラセボ条件と無摂取のコントロール条件も加えた計5条件のランダム化クロスオーバー試験を行いました。全員が1週間の休止期間を挟みながら全条件を経験する厳密な設計です。

結果、ベンチプレスとスクワットの総挙上量は「トレーニング2時間前」にクレアチンを摂取した条件で最も高く、プラセボや無摂取のコントロール条件を明確に上回りました。一方、トレーニング中や直後の摂取では、こうした上乗せ効果ははっきり見られませんでした。ジャンプ力(瞬発力)、集中力、疲労感、気分、筋肉痛の感じ方には、どのタイミングでも差はありませんでした。

これまで市販クレアチンサプリの多くは「タイミングはいつでもよい、毎日続けることが最重要」と説明されてきましたが、実際に海外の専門メディアやISSN(国際スポーツ栄養学会)の見解でも「タイミングの効果は小さい」とされています。本研究は、少なくとも単回摂取・急性効果に限れば、運動前の摂取が瞬発的な挙上パフォーマンスを引き出しやすい可能性を示す新しいデータといえます。

あなたの生活にどう関係する?

その日の筋トレで挙上重量を少しでも伸ばしたい人は、トレーニング開始のおよそ2時間前に、体重1kgあたり0.1g(体重70kgなら約7g)のクレアチンモノハイドレートを水に溶かして摂取するとよいでしょう。特にベンチプレスやスクワットなど高負荷種目のその日のパフォーマンスを重視する人に向いた戦略です。ただし本研究は単回摂取の急性効果のみを検証したもので、毎日3〜5gを継続する慢性摂取による筋肉量・筋力の向上効果とは別の話です。日々のルーティンとしては、高額な「タイミング最適化」をうたう製品を選ぶ必要はなく、安価で高純度なクレアチンモノハイドレートを毎日欠かさず摂ることの方が重要です。

注意点

本研究は健康な活動的男性11人のみを対象にした小規模パイロット試験であり、女性、高齢者、上級アスリート、運動習慣の少ない人に当てはまるかは不明です。使用量(体重1kgあたり0.1g)は一般的な維持用量(1日3〜5g)に近いものの、ローディングを行わない単回摂取のみで評価されており、日常的な継続摂取の効果とは区別が必要です。トレーニング中・直後摂取の条件では対応するプラセボが用意されておらず、参加者が摂取タイミングを認識できたため期待効果(プラセボ・期待バイアス)の影響を完全には否定できません。効果量も中程度〜小さいものが中心で、より大規模な試験での再現確認が求められます。

専門用語の解説

クレアチンモノハイドレート最も研究が進み市場に広く流通しているクレアチンの形態。安価で吸収効率も高く、サプリ選びで最初に検討すべき基本形。
クロスオーバー試験同じ参加者が期間を空けて複数の条件(本研究では5条件)すべてを経験する試験デザイン。個人差の影響を減らせるが、条件間の持ち越し効果に注意が必要。
ローディングフェーズクレアチン摂取初期に1日20g程度を5〜7日間摂り、筋内クレアチン濃度を急速に高める方法。本研究は行っておらず、単回摂取のみの急性効果を見ている。
1RM(1回反復最大挙上重量)1回だけ正しいフォームで挙上できる最大重量。トレーニング強度(%1RM)の基準として使われる。
カウンタームーブメントジャンプ(CMJ)しゃがみ込みの反動を使って行う垂直跳びのテストで、下半身の瞬発力(パワー)を評価する指標。
クレアチンキナーゼ(CK)筋肉の損傷や代謝活動の指標となる血液中の酵素。運動後に上昇しやすく、筋トレ後の回復状態の目安として使われる。
クレアチニンクレアチン代謝の副産物で、腎機能の指標として広く使われる血液検査項目。運動や脱水でも変動するため単独での解釈には注意が必要。
ウォッシュアウト期間クロスオーバー試験で、前の条件の影響を消すために設けられる休止期間。本研究では7日間だったが、筋内クレアチンの完全な正常化には4〜6週間かかる可能性が指摘されている。
POMS(気分プロファイル検査)疲労感・活気・緊張・怒りなど複数の気分状態を質問紙で評価する心理測定ツール。
プラセボ対照見た目や味を本物のサプリと区別できないよう似せた偽薬(プラセボ)を使い、思い込みによる効果を差し引いて評価する試験手法。
研究データ

試験デザイン

RegistrationPan African Clinical Trials Registry(PACTR、汎アフリカ臨床試験登録): PACTR202309597156293

総合評価

JADAD Quality Assessment
1
/ 5

評価詳細

ランダム化

2 / 2
研究がランダム化されていると記載されているか?
はい+1
根拠: 論文は、抄録の方法記述、実験デザインの節タイトル・本文、考察・結論など、本試験を繰り返し明示的に「ランダム化(randomized)」と記述しており、Q1の基準を満たしている。
ランダム化の方法が適切に記載されているか?
はい+1
根拠: 論文はランダム化の方法を明示的に記述している:Microsoft ExcelのRAND()関数を用いて各参加者に乱数を生成し、参加者はこれらの乱数に基づいて順位付けされ、ブロックサイズを指定した上で条件順序に割り付けられた。コンピュータ生成による乱数(ExcelのRAND関数)はJadad基準における適切なランダム化方法に該当し、その方法は明確かつ具体的に記述されている。

盲検化

-1 / 2
研究が二重盲検であると記載されているか?
いいえ0
根拠: 論文は自身の試験デザインを説明する際に「二重盲検(double-blind)」という用語を一切使用していない。「ランダム化プラセボ対照クロスオーバー試験」としてのみ記述されている。方法の項では不透明容器の使用により「盲検化の成功を確保する」ための試みに言及しているが、考察・限界の項ではCrDおよびCrF条件について、参加者が必然的にサプリメント摂取のタイミングを認識していたため盲検化が達成されなかったことを明示的に認めており、本試験が二重盲検としてデザイン・記述されていなかったことがさらに裏付けられる。
盲検化の方法が適切に記載されているか?
いいえ-1
根拠: 著者らは盲検化手順(不透明で無標識の容器に入れ、独立した第三者が取り扱う)を記述し、運動前条件についてはプラセボの外観を一致させているが、プラセボはCrB(運動前)と一致する1つの摂取スケジュールでのみ投与された。CrD(運動中、セット間に分割投与)やCrF(運動直後)の摂取スケジュールに対応するプラセボ条件は存在しなかった。著者ら自身も考察において、盲検化が運動前条件の比較においてのみ有効であったこと、およびCrD/CrF条件の参加者は(運動中・運動後に相当するプラセボが投与されなかったため)サプリメント摂取のタイミングを必然的に認識しており、これが「盲検化および期待効果を交絡させた可能性がある」ことを明示的に認めている。これは、二重盲検の方法がすべての試験群・比較において適切に実施されていなかったことを意味し、Jadad基準における適切な盲検化方法の要件を満たさない。

脱落者・除外者

0 / 1
脱落者数と脱落理由が記載されているか?
いいえ0
根拠: 論文は募集標本サイズを決定する際(事前計画)に「脱落の可能性」を考慮したことのみに言及しているが、試験期間中に実際に生じた脱落・中止例の人数や、各処置群における中止理由については報告していない。結果のすべての項において、11名全員が5条件すべてを完了したかのようにデータが報告されており、フローダイアグラム、CONSORTフローチャートのデータ、あるいは参加者の追跡・脱落に関する明示的な記載は存在しない。したがって、脱落・中止に関する記述は提供されていない。

対象集団

サンプルサイズ11
年齢範囲Mean: 26.09 歳
疾患・状態健康で身体活動的な男性(急性レジスタンス運動・クレアチン摂取タイミング試験)
Inclusion Criteria
  • 非喫煙者で、試験期間中および試験開始前少なくとも1か月間、アルコールを摂取せず抗炎症薬を使用していない者
  • 筋骨格系の外傷がない者
  • 安定した回復状態を示した者(Hooper指数のサブスケールスコアが3日連続で4以下、または合計スコアが16以下)

介入

クレアチン一水和物

治療群
Dose体重0.1 g/kgを500 mLの水に溶解
Frequency各実験条件につき単回急性投与
Duration急性・単回投与(ローディング期間なし)。条件に応じて運動セッションの前、中、または後に投与
Route経口

プラセボ(コーンスターチマルトデキストリン)

対照群
Dose体重0.1 g/kgを500 mLの水に溶解
Frequency単回投与
Duration急性・単回投与
Route経口

サプリメント非摂取対照

対照群

アウトカム

OutcomeTypeEffectp-value
ベンチプレスパフォーマンス(総挙上外部負荷)主要-0.035有意
バックスクワットパフォーマンス(総挙上外部負荷)主要-<0.001有意
カウンタームーブメントジャンプ - パワー副次-0.85
カウンタームーブメントジャンプ - 高さ副次-0.29
カウンタームーブメントジャンプ - 筋力副次-0.57
カウンタームーブメントジャンプ - スピード副次-0.39
クレアチンキナーゼ(筋損傷マーカー)副次-0.016有意
クレアチニン(腎機能マーカー)副次-0.001有意
乳酸脱水素酵素(LDH)副次-0.50
アルカリホスファターゼ(ALP)副次-0.057
アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)副次-0.16
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)副次-0.49
ナトリウム(Na+)副次-0.16
カリウム(K+)副次-0.29
POMS - 疲労-無気力副次-0.15
POMS - 怒り副次-0.73
POMS - 活気副次-0.82
POMS - 混乱副次-0.58
POMS - 抑うつ副次-0.44
POMS - 緊張副次-0.84
認知機能パフォーマンス副次-0.054
主観的運動強度副次-0.06
主観的回復度副次-0.46
遅発性筋肉痛副次-0.35

安全性

脱落率0.0%
有害事象は明示的に報告されなかった。筋損傷の血液マーカー(CK、LDH、ALT、AST、ALP)および腎機能(クレアチニン)と電解質(Na+、K+)は、安全性関連の探索的アウトカムとして評価された。CKはコントロールおよびPL(プラセボ)と比較してCrF(運動後摂取)条件下で高値を示し、クレアチニンはCrD(運動中摂取)、CrF、コントロールと比較してCrB(運動前摂取)条件下で低値を示した。その他の生化学マーカーには条件間で有意差は認められなかった。参加者の脱落は報告されなかった(n=11が全5条件を完遂)。

結論

身体的に活動的な男性において、筋力トレーニングセッション前(CrB)にクレアチン一水和物を単回摂取(0.1g/kg)することは、運動中(CrD)や運動後(CrF)の摂取、プラセボ、または無補給と比較して、急性のベンチプレスおよびバックスクワットのパフォーマンス向上と関連していた。クレアチンの摂取タイミングは、カウンタームーブメントジャンプのパフォーマンス、認知機能(数字消去検査)、気分状態(POMS)、自覚的運動強度、主観的回復、DOMS(遅発性筋肉痛)には影響しなかった。急性の生化学的変化は、CrF条件下でのクレアチンキナーゼの上昇とCrB条件下でのクレアチニンの低下に限られ、その他の筋損傷、肝機能、電解質マーカーには変化がみられなかった。これらの知見は探索的なもの(パイロット研究、n=11)であり、より大規模なサンプルとより頑健なプラセボ/対照構造による確認が必要である。また、慢性的なクレアチン補給の実践に外挿すべきではない。

限界

  • 5つの複雑な実験条件にわたって評価された少数コホート(n=11)によるパイロット試験であり、統計的検出力と一般化可能性が限定される。
  • プラセボは運動前摂取条件においてのみプラセボ効果を有効に統制できた。CrD、CrF、コントロール条件では参加者が補給のタイミングを必然的に認識していたため、盲検化や期待効果に影響を与えた可能性がある。
  • 参加者に習慣的な食事の維持を求めた以外、食事管理は実施されなかったため、栄養摂取のばらつきがベースラインのクレアチン貯蔵量や代謝反応に影響した可能性がある。
  • 神経筋活性化、筋線維の形態/動員、筋タンパク質代謝回転、衛星細胞活性、成長因子シグナリング、ホルモン反応、酸化ストレス、炎症マーカーの直接測定は行われなかった。
  • 筋内クレアチン含量は直接測定されておらず、タイミング効果の機序的解釈が制限される。
  • 7日間のウォッシュアウト期間は従来の急性クロスオーバー試験デザインと一致するものの、筋内クレアチン貯蔵量の完全な正常化には4~6週間を要する可能性があり、持ち越し効果を完全に排除できていない可能性がある。
  • ローディング期間を伴わない単回急性摂取では、慢性的なクレアチン補給プロトコルで見られる効果を再現できない可能性がある。
  • 複数の副次的・探索的アウトカムにおけるばらつきが大きく、小さいながらも意味のある効果を検出する感度が低下し、第二種の過誤のリスクが高まった可能性がある。
  • 本知見は身体的に活動的な若年男性に特有のものであり、さらなる研究なしに女性、高度に訓練されたアスリート、活動性の低い個人に一般化すべきではない。
このコンテンツはAI(LLM)によって生成されています。正確性には十分注意を払っておりますが、重要な情報については原著論文をご確認ください。
クレアチンは「筋トレ2時間前」に飲むと一番効く?単回摂取のタイミングを比較した最新パイロット試験 | Re:Vital Nexus